私は在宅で祖母を看取りました。『それはそれは何も不安なことはなく、素晴らしい最期を過ごし、堂々と在宅で看取ることが出来た！』と、胸を張って言いたいところですが、決してそのようなことはなく、戸惑い、不安がいっぱいの中でただただ一生懸命に過ごした日々でした。

しかし、後悔は何一つなく、祖母と楽しい時間を過ごし、最後は在宅で看取ることも出来ました。そして、今、祖母から受け取ったバトンで在宅医療の道に進むことになりました。祖母の在宅医療を通して、私が実感したことは本人はもちろんですが、支援（介護）する者にも支援が必要であるということでした。

私は緩和ケア認定看護師という資格を持ち、在宅医療を推進する立場なので、自分自身在宅医療や看取りは出来て当然という自負がありました。

しかし、いざその場面になったとたん、仕事のことや子供のこと、両親のこと、自分自身に関わるすべての事柄が一気に整理がつくわけもなく、戸惑うばかりでした。そのような中で祖母を支援する私たちを救ってくださったのが往診してくださった主治医の先生や担当のケアマネージャーさん、訪問看護師さん、デイサービスのスタッフの方々、病院の先生や看護師さん、介護施設の方々などの多くの方々が支援してくださいました。本当に助かりましたし、このような支援がなければ、祖母は在宅で過ごすことは出来なかったと思っています。これまでは、私自身在宅医療の素晴らしさを伝えるだけでしたが、この経験を経て、大変さも身に染みてわかりましたので在宅医療は本人はもちろんのこと、その方々を支援しているご家族や親友の方への支援も重要であると声を大にして言いたいと思っています。その想いから、支援を必要とする本人様とその方を支援している大切な人も含めて、しっかりとサポートしていきたいと強く思い、本事業所を立ち上げました。